2015/11/20

zoe 海へ行く


生後まもなく保護され 手厚い保護下の元 悲惨な野良犬人生を逃れた zoe





実は その当時
彼女は ”海香” という仮の名を頂いておりました

なので ”海香 海へ 行く” かな、、、いずれにしても 犬 初めての海です


伊豆らしいシイの木の林 その向こうに海、、、

先代犬の nero , rio は 生涯海を見ることはなかった
それは当時同居していた ten , riki に関しても然りである 

まあアイツらは猫だから 
連れて歩くのもままならないといった最もな理由もあったが、、、


よく家人と話していたものだ ”nero とrio を連れ立って浜辺へ行きたい” と


後悔というのは何時まで経っても後悔のままだから、、
だから 10月末の 未だ ”やまめ” が漁期中であるにも関わらず海を目指した

思い立ったその日に行くのだ
   --- くどいようだけど --- 例えそれがやまめの漁期中であってもね

おそらく つりに行けるとしたら今日が最後の休みだったのに
それでも この日を逃してはイケナイ気がしたのだよ
だから意を決して この仔犬(ワタシの中では仔犬なのである)を連れ
はるばる伊豆の海へ向かうことにしたのだ

なんと潔いのだと思われた人もいれば
幾ら愛する犬の(自分たちの)為とはいえ 
絶対に何かあるだろうと疑いを持った人もいるだろう

そしてそれについて少なからず疑いを持っている人たちは
  ”何故伊豆なのか 三浦あたりでもいいだろう” と思っているに違いない

それにつてはどうせ分かる事だから正直に言うけど

あわよくば港へ流れ込む小さな川で 
  ”夕方だけでも毛鉤を振ろうか” といった そんな魂胆あっての地理的選択でした

しかし そんな卑しい(犬をダシにした)企みは
慌しい出発前の準備を進めて行く段階で 既に成功し得ないと気づいたんだよね

それはもう準備が整う云々よりも以前の事なんだ

この日だっていつもの休日の様にのんびり朝の散歩をするキミ(犬)は
この後みんなでピクニックへ行くなんて知りもしないし 
仮に知ってたにせよ 早足で手短に散歩を切り上げるなんて事はしなかっただろ

とにかく時間を潰す天才ときているからね

仮にって後で さらに仮の話をして申し訳ないんだけど
たとえ何十時間という時間があったとしてもだ
それはなんの助けにもならなかったに違いない
完璧なんだ 本当に天才的な時間の浪費家なんだよ あの仔は

ズラズラ並べ立てたけど これは苦情とか抗議の意とかじゃないんだよ

休日の時間割りは 全てキミの自由に出来る約束だからね
付き人は一切なにも言わない約束だものね
だから 例えシビレを切らしたとしても
  ”そろそろ行きません あまご釣の時間が無くなっちゃいますぜ”
なんて口が裂けてもいっちゃあイケナイんだったよね
そう休みの日はそういう約束だったからね

苦手のドライブから開放されて弾ける(生き返った)犬

早いもので zoe は既に三歳半を過ぎた

幼い顔付は昔のままだが
体格は nero rio を足した上に riki をプラスした程になっている

歳も目方も増えるのはあっという間だ

だから犬と一緒に何かしておきたい事があるなら早くしないといけない
さもないと
次にハッと気づかされたときにはコイツは13歳かそこらになっているだろう
そして
その頃には 山とか沢とか走りまわるより 
せっかくの休みくらいは家にいたいよって そう言いだすかもしれない
だからイケル時は漁期であっても行っておいたほうがいい 後悔しないようにね

大きくなったって話ついでに少し続けるけど

最初は ”大きな(大きく成るであろう)犬の面倒をみれるのか” といった
そんな多少の不安があったのも確かだった

--- 仔犬のzoeが我が家にやって来た時 既に nero の二倍近い大きさだった ----

幸いにして ここまでその大きさが問題になるような事態には至っていない
この先もそんな問題は起こらないだろうし 起こりえる事すら考えられない
絶対に

(もっとも思っていたほどはジャイアント化しなかった ちょうどいい塩梅かな) 

こうなると不思議なもので これまでの我が家の指標も大きく上方修正される事となった

---- zoe の二倍くらの仔までならいけるな ---- といった修正案が飛び出したのだ

それは 昨今のパソコンHD容量増大と同程度の感覚だろうか、、、
とにかく 大きく受け入れ態勢が膨らみつつあるのは間違いのないところなのだ


雑木を抜けて浜に降りると ゴロタ石の向こうに小さな砂浜があった
それは当に”おあつらえむき”と呼ぶにふさわしい佇まいのそれで
その小さな浜は 犬とその付人二人が今から半日過ごすのにぴったりの場所だった

我が家には 
何に付け こういった小さくこじんまりした感覚が必要不可欠なのである
そう 誰も居ない静かな”人知れず”といった条件と併せてね


さっそく水際へと犬を誘ってみる
しかし zoe は初めて見る海にかなり戸惑いをみせる

興味はあるのだ
でも それ以上の警戒心が邪魔をして なかなか水に近づけないでいる

結局 この日は足を濡らすのが精一杯だったね


海水との距離感は縮められなかったが
それと陸の間にある やたらと掘りやすい砂はたいそう気に入ったようだった




思いのほか暖かな一日で というよりかなり暑い日だった

なので 出来ればちょっとした日陰が欲しかったんだけど
もともと砂浜でピクニックを決め込む時点で そんなものを望む事自体贅沢というものである
もっとも真夏ならば ビーチには パラソルとベッドを貸し出す係りの人もいるだろうけどね
今はヒト気の無い晩秋 だからそれは耐えるしかない

気温の上昇は どうにか我慢出来るくらいでとどまってくれたが
犬にとっては相当に暑かったようだった
普通なら何処かに日陰を見つけて 一切の動きを止めたに違いない
でも 初めて見た海と砂浜がそうはさせなかった



三時くらいだったか
その頃になると薄く雲がかかり
日差しが和らいだおかげで暑さも一段落 
そこでようやく湯を沸かす気になった



お陰で日が暮れる前に 
ピクニックらしくお茶(珈琲)を淹れる事ができた





イツマデモ遊んでるいるかに見えた犬が
何か食ってるのに気づいて此方にやってきた

葡萄を食わないのは知ってるいるが
一応これを食っているのだという事を知らせる為に
葡萄の皮を一舐めさせてやる
案の定 
酸味が苦手なのか渋い顔をすると一歩後じさった

そういえば犬にとっては
葡萄に入っている成分の何かが毒になるらしい

以前は知らずに 頻繁に nero (rioは食わない)に食べさせていたが
ある日何かに書いてあるのを見て それからあげるのをやめた

zoe は食わない物が色々ある それは rio によく似ている

rio は nero が食べている物を同じように欲しがったが
決して其れをひとおもいに飲み込んだりせず nero の様子を注意深く観察してから
そうしてから慎重に本当に慎重に口に入れたものだ

ひょっとするとこの zoe にも 何でも食べる相棒が居たなら
何でも食べる犬らしい犬に変わるのかもしれない
が このままのほうが何かと都合が良いのかもしれないなあとも、、、


一息入れた後 流木を投げを再開してやる

わざと波際へ投げるんだが 犬は上手いこと波を避けて其れをひらう
慎重で臆病なのは重々承知してはいたけど それにしてもこれほどとはね
あらためて思い知らされたよ


陽が向こうの岬に入ったのを合図に荷物をまとめ始めると
犬は ”準備が出来るまで休んどくわ” とは言わなかったが
見るからにそう言っている風にも見えた


それでも帰る前にもうひと頑張りして
浜に確りと名前を刻むことを忘れなかったのは立派だ


早くしないと真っ暗になるから 顔(全身)は砂まみれだけどそのまま帰ろう


2015/10/26 西伊豆の小さな浜にて

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