2025/10/16

秋の釣り旅

 


今年もはままつの衆と谿へ行った



以前は 浜松と東京の中間あたりで待ち合わせをして

はままつくんと二人で地味な定例会の様な そんな釣り旅をしていた

二人で気ままに釣り探っていた大昔の様に なんとなく想い出の谿沢を順繰り徘徊していたわけであるが

近年は同行者も増えて、、というか浜松組にワタシが混ぜてもらう そんな形になった


日程はこれまで通り二日間であったり三日間くらいであったりと変わりないが

行程は過酷になり

食事はまともになり --- まともどころか豪勢になった


そして 二人だけの時よりもなんとなく余裕も生まれ心強さをも感じているのは

群れは大きい方が襲われ難いからなのか

魔物に食われる順番は多分はままつくんが一番先だろうという安心からなのか

なんとなくそんな感じなのかも知れない


とにかく

混ぜてもらていることもあり

谿の選定やルートも概ねお任せ状態だ

任せきりなので文句を言う筋合いもないが

毎回なんやかんやとハプニングがあり そして想像以上に酷い目にあわされる

それでも 毎回大きなさかなも釣れらせてくれるので

もちろん不満などあるはずもなく、、、とにかく いつも大いに楽しませてもらっている


例年九月の終わりになる事が多かった定期谿行だけど

そろそろ遡上しきったさかなの後を追うのも辛くなってきたこともあり

今年は遡上の先手を打つ意味も込めて初旬に決行となった



あの人は釣りとなると かなりせっかちになりがちで いつも朝早くに集合時間を指定してくる

ワタシがいつも遅くに川へ向かう事が多いからそう感じるだけかも知れないが

とにかく彼は早いのである

それは どんなに一生懸命歩いても辿り着かない事が多いからなのか

ただ単に誰かに先を越されるのを懸念してなのか

または その両方なのか、、、

とにかく今回も真夜中と言えるくらい早くに 峠のちょっとした空き地で落ち合う事となった



高速を降りてその日に必要な握り飯やら飲み物を買い

そのついでにどちらへ向かえばいいのか若い店員さんに方角を尋ねた

ワタシは 目的地を伝えて単純に右か左のどっちへ行けば良いのかを知りたかったのであるが

彼は一旦奥へ引っ込むとスマートフォンで検索してくれて

そして丁寧に 歳くった者にも分かるようホントに親切に道順を教えてくれたのであった


教えられた道順はとても分かりやすく

ただ ホントにこの道でいいのか?と不安になるくらい暗く寂しい道だった




真っ暗な山の中にある待ち合わせ場所に着くと、、、想像はしていたが やはり誰も居なかった


確かあの日の夜は月食だった

そんな気味の悪い夜に

時々見え隠れするおかしな色をした月を横目に

灯りのない細い道をそこそこ急いで駆け上がってきたのであるが

こんな事ならもう少しゆっくりくれば良かったなと、、激しく後悔したのであった


不気味な月食のせいもあって ひとりでは怖くて外にも出れず

寝ようとしたがそれも出来ず 仕方がないので途中で買った弁当を食べながら彼らを待事に


可なりの時間運転して此処まできたにも関わらず

それでも弁当はいまだほんのりと温かかった



空が白み始めたころに彼らが現れる


ようやく外に出る事が出来たので

のろのろとパッキングを始めるとはままつ組から 米かなにか かなり重たい物を渡された

それは正しく分担された食料なので無理やりルックサックに押し込んだ


久しぶりに大きなルックサックを背負ってすっかり明るくなった頃に出発となったが

ホントに久しぶりなのと

詰め方自体が雑だったのもあり

あれこれ収まらない物が 背中にだらしなくぶら下がっていたのであった



下降点に着くまでに陽が上りきり 酷く暑くなっていたが

幸い下る尾根は樹林帯だったこともあり

おかげでひどく焼かれる事も無く小一時間で河原に立つことができた


例年 日程の初日は釣りが出来ない事態が続いていたので

こんなにもあっさりと谿底に到着してしまって本当に良いのかと

誰もがそう考えたに違いないが

楽に 早く到着するに越したことはないので それはそれは皆素直に喜んだのであった



テン場を決めて さっさと寝床を拵えて そそくさと釣りへ出かけた


いわなはなんの疑いも持っていない様で ホントに良く釣れ続けた

はままつくんも次から次へと釣っていく



しかし それは 突然やってきた

久しぶりに楽して良い釣りが出来てよかったなぁ と思っていた矢先の出来事である


小さな滝の壺を欲深く探っているときに岩から落ちたのだ

正確には 堕ちたんだろうなとそう理解するのがやっとで

気がついた時にはあっちの岩からこっちの岩へと倒れ込んでいたのである

唯一覚えているのは土橋さん(神様となった友人)から託された棹を倒れ込む寸前に投げた事だけだ

折ってはいけない これだけは という意識が働いたのかも知れない


やはりというか タダでは済まぬとは思っていたが

まさかこんな事が起こるとは想像もしていなかった


きっとこれは月食のせいに違いない、、、、とあれを呪う余裕もなく痛みがやってきた、、、


当然のことながら しばらくすると手首が腫れてきた

おまけに 逆の腕(肘)も卓球の玉を半分にしたくらいのたんこぶが出来ていた


出来る限りの冷静を装って それをはままつさんに見せると間髪入れずに ”押せ” という

冷静なワタシは 月食のせいであの人もおかしくなってるのかと思い何度も聞き返す

しかし あの人の答えは またもや ”押せ!” だった


どうやらあれは本気らしいと諦め

最終的に 言われた通り痛むもう片方の手でグイっと押し込んでみたのである

すると しばらくしてそこは不思議と平らに --- 実際には少し膨らんでいたが --- なっているではないか、、、



初日の記憶は午後七時半くらいまでしか無い

寝不足と鎮痛剤とちょっとの酒のせいであっという間に寝落ちした様である

しかし 異様に明るい月のお陰で まだ暗いうちに目が覚めてしまった とそう思ったのだが

目が覚めたのは月明りのせいではなく 昨晩八時前に寝てしまったからだなと思い直す


昨晩寝る前から あくる日に釣りが出来るだろうかなんてちっとも心配していなかったけど

彼らはそうでもなかったらしい

実際 はままつさんは ”きっと切り上げて明日帰るんだろうな” とそんな事を考えていたと

帰りの林道でそう打ち明けられた



当然のように翌日も釣り遡る それも前の日よりもいいペースで上を目指した

手首は、、、痛かったけれど 幸いにしてそれほど釣るのには支障が無かった



但し 上ったら下るのである

上りは如何にかなるが いざ下るとなると難儀する

特に左手が思うように使えないと 普段簡単なところでも可なり難易度があがる

難易度が上がるのは楽しが それは痛くなければ の話である

痛いとただただ苦しいだけとなるから 皆さん気をつけたし、、



相変わらずの混沌としたテン場である

そんな乱れ切ったテン場だけれど

釣り終えて戻ると いつもなんと快適な、、としみじみ思う

物は散乱し 何かをする度に何かを探す

でも それ以外することもないので 特にその探すという行動が苦になる事もない


二日間無事(一応)に釣り終えたので今宵は本当に食べて寝るだけだ

ただ 昨晩に早寝してしまったので色々食材がダブついているらしく

食べても食べてなにか出てきて 一向に夕餉は終わらなかった

それでもやはり この日の夜も割と早くに寝てしまったようだ


歳をとると多少寝心地がわるかろうと 疲れと痛み止めには勝てないようである



行きはよいよい帰りは怖いのだ


帰りの林道は時間的にも日差が強く さらに永遠に続く登り道にうんざりさせられた

ただ幾らでも水が取れるところだったので それだけは楽をさせてもらった



そうそう

はままつさんが ”手は高くあげておけ” と言っていたので

正しく帰りの運転中はずっと左手をハンドルの一番高いところに置いておいた

すると帰宅したころには腫れが引いたかの様にみえたのだが

あくる日起きると 再びパンパンに 昨日以上に腫れあがっていた

なので やはりここは医者へ行っておこう となった次第である


店を少し早くに閉めて受診すると

あきらかに 骨折ですね とは言われなかった

が 翌週再診にて先生が云うではないか

 ”亀裂は広がっていませんので大丈夫ですね” と、、、


ああ釣りは愉し

但し けがにはくれぐれもお気をつけください

ふらい麻呂

0 件のコメント:

コメントを投稿