2025/04/26

桃の季節

 


桃と桜と遠くの山の雪景色


今年の春もここ数年の例に漏れずやたらと暖かく

花という花がほぼ同時期に咲き始め

やたらと賑やかな春になっている


ただ昨年とは少し違って今年の3月は寒かった(ワタシの休みの日に限っては寒かった)

寒かったおかげで少しだけ冷静で居られたような気がする


それでも3月に二度ほど川へ行った

まあこれは釣始めの年中行事の一つの様なもの

一度目は偵察と称した買い物旅だった

そして二度目は今年の鑑札を買いに薄ら寒い山里まで出かけたのである



うすら寒くても春なので 春なので盛大に虫が飛んでいた

するとこれなら釣れるんじゃないか、、、と そんな様子にすっかり騙され

なにも起こらない浅瀬をどんどん遡行して行く

気が付けば 辺り一面飛び回っていた蜉蝣は風に飛ばされ

殆ど何事も起こらずに仕舞の時間になっていた

そうやって今年の三月は終わったのです



幸か不幸か毎週休みがある

そんな訳でこの前鑑札を買ってしまった手前

また釣に行かねばと思うのです

だけど翌週は幸運にも冷たい雨で

なんだか命拾いしたような気がしたのでした


桜が咲いて

また休みの日がやってくる

天気予報はいいお天気だと言っていた

だけれども 前の晩に珍しく貸し切り仕事などがあって

その日はいぬが怒り出すくらいの朝寝坊

失敗したかなと思ったが

それ程暖かくもなく晩に見た予報とは違ってどんよりした曇空だった



あくる日も良く寝たがいぬはいつも通り寛容だった

お天気もまあまあだった


遅いさんぽを済ませて

およそ渓流釣りへ行く時間ではない そんな時間に出かける事に


出が遅かったので

葡萄酒の店に寄って出てくると お昼を知らせるサイレンか何かが高らかと鳴る

昼なら蕎麦でもと思い心当たりの店に向かうが想像を超えた長蛇の列にうんざり

握り飯は買ってあったので そそくさと高台を通る農道へと上がった


桃は摘花を終えてやや桃色が薄まって見頃に限れば終わりかけていた

けれど 集落をつなぐ様に広がる薄ピンクの畑がなんとも美しい

実が付くのはもう少し先になるけれど いまからそれが待ち遠しい


花ばかり見ていても仕方がないので彼方此方の川の様子を見て回る


通いなれた道から見下ろすと解禁の儀式の為に葦を刈ったのだろう

楽に入れそうな流れ込みが目についたので素直にそこへ降りることにした



土手に上がると ひと気に驚いたのか猪の親子が葦の中からぞろぞろとで出してきて

これから入ろうと思っていた出合いの方へと彼らはどんどん進んで行く

それでもデカいのは居なかったので如何にかなるだろうとタカを括り

しかし少々びびりながらそのまま支流の出合いへと向かった



多分四半世紀ぶりくらいに入ったその小川は

遠目に見たよりも釣り辛く さかなの気配もなく 一向に釣れそうな気がしてこない

車を置いた低い橋をくぐると その先は川通しに行くには厄介な感じだったので

一旦農道に上がり またすぐに川へ降りた


降りなおすと 農道から少し離れたあたりに流れがあって分流している

水量が多いほうへと毛鉤を流すとさかなが動く気配がした

興味はあるが、、、といった風だったので

柄にもなく毛鉤を交換してみる


結果は、、、真面目にやれば成果はついてくるものだというのを思い知る


しかし こういう手順というか 余計な事をするのが本当に面倒で性に合わない

だから何年たっても一向に釣果が上がらないままなのだろう

だからどうってこともないんだけれど、、、釣れたというのにちょっともやもやした



袂に桜が盛大に咲いている高い橋の下を潜ると

わりといい感じの この小川にしては深めの流れがあった

毛鉤を交換した成果が出た後なので

きっと此処でも釣れるに違いないと思い

それはそれは丁寧に(ワタシなりに)手前の方から探っていった


勿論アマゴは躊躇なく飛び出してきた


少しいい気になって

あまごならもっとぐるぐる抵抗しなされ さあさあってな感じで少しだけ遊んでいると

最後の最後に思いっきり体を回し鉤を外して泳いで行ってしまった

よせて触れる事ができなかったのは悔しいが

悪態をつくほどでもなく

意外と冷静にさかなが深みへ戻るのを眺めていた 


毎度の事ではあるが釣り始めるまでも色々あった(買い物したり)けれど

川に浸かってからも

毛鉤を変えたりと(面倒な事が)いろんな事があった

”ふつうはそういうものですよ” と誰もが口をそろえて言うだろうけれど

ワタシの思う釣というのは そういうんじゃないんだよ、、


桃の季節に 懐かしの里川で

ふらい麻呂

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