2025/06/08

初夏の釣

暑くなりはじめた頃に入る沢がある

そうそう涼しくなりはじめにも入るけどね、、



今年も4月だというのにそれなりに暑い日が多い

それでもいまだ水辺はそれなりに気温も低く

谿底に至っては陽も当たらず寒いくらである

なので胴長を履いてまでそこへ下る気にもならず

もう少し陽気が良くなるまではと谿の浅い枝沢で釣っていようかなと思った



この辺りが枝葉とボサに覆われるのもあと数週間の猶予がある筈で

その短い期間に限っては比較的明るく

それに悪場もなく気楽に遡行出来る

こんな都合の良い小沢があるというのは

お年頃になった身にはほんとに助かる


ただし

ここも他の引き出しの中身同様さかなっ気が極端に薄い

唯一の救いは 居ない ではなく 薄いという点だろう


まあ 幾らでも釣れるに越したことはないけれど

大したアルバイトもなく

静かに釣が出来るだけでも御の字だ

敢えて前時代的に云うと”贅沢は敵”なのである



バタバタと過ごしていると あれよあれよと5月も半ばを過ぎてしまった

きっとあの小沢も相当に枝葉が張り出している頃だ

となれば来年の暖かくなりはじめまで行くことはなかろう、、、



”何処もかしこも連休には大勢の人が釣に入ったんだろうな” なんて考えていたら

またしてもさかなっ気の薄そうな流れへと向かっていた


車止めにはハイカーのそれと思われる車が沢山止まっていた

このうちの何台かは釣りのひとかも知れないと思ったけど

いやそんな筈はないだろう、、

こんな盛期にわざわざこの沢を選ぶ奴など、、

夕方ならまだしも真っ昼間に此処へ入ろうなどという奴は、、

きっと居ない筈だ



少し歩いて枝沢の斜面に付いた踏みあとを辿って本流へ降りる

お天気はやたらと良いが やはり誰も居ない


仕掛けを結ぶ為 広い河原の端に座るが

遮るものがないので眩しくてハリスも容易には結べない

手元すら怪しくなっているので明るくて良いかなと思ったが

明るすぎるのもダメなようである


沢はしばらく来ない間に水が出たのか流れの筋が大きく動いていた

だだっ広い浅瀬はこれまでと同じようだったけど 土砂の押し出しがとにかく酷い

それでも時々 一見気配のないざらっとした瀬の中からさかなが毛鉤を突きにやってくる

勿論やっては来るがそれ以上の展開にはならない


唯一の良いスポットと云ってもいい対岸の張り出した枝葉の元

そこに付いているだろう奴はとうとうこの日は現れなかった

きっと昼前に誰かがひと流ししたに違いない


それでも

魚留に辿り着こうかというときいわなが掛かった

が じたばたしている間に糸が緩んで外れてしまった

と同時に今日はダメかなとやや弱気になる




一旦登山道に上がって魚留を巻いたところで昼飯にした

遠くに その昔辿った尾根が綺麗に見える

近年はしっかりとした道が付いたようだけど

上から降りてこられた登山者の方に聞くと

相変わらずシャクナゲの藪が可なり酷いようだ



だいたいいつも昼休憩を挟むと釣れたりする

もちろん釣れない時もあるのだけれど

釣れたりした事の方が記憶に残るからなのか

そういう法則的なモノを信じてやまない


釣始めはさっぱりなにも起こらないような時でも 

”なあに昼飯後になれば如何にかなるだろう” 

と 何の保障もない法則を信じて釣り続けるのである


信じすぎるのは如何かと思うが

のこのこ昼くらいにやってきてヤマメやイワナを釣ろうなんて輩は

それくらい信心深くないとやってられないのである



帰り掛けに桃畑の脇にある自販機でソーダを買って飲んでいると

近所の方ですかと話しかけられた

どう見てもよそ者にしか見えない筈だが、、、桃泥棒を疑うにしても時期が早かろう

何が如何して近所の者と思ったのか、、、


桃は梅の実ほどに育っていた

もう数週間もすれば桃がとれる その後はぶどうだ

その前にトウモロコシを食わねば、、、


魚つりが目的なのかモロコシや果物が目当てなのか

いずれにしてもさかな釣の季節は短い

ふらい麻呂

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