2024/02/04

富士を観に登る

 


いつもだいたいそうなんですが 富士を眺めるのは北側からの事が多いのです


北か北北東か
まあいつもそのあたりの方角から眺めているのです
となると大凡どのあたりの尾根に這い上がっているのか見当がつくかと思いますが
そこは捻くれ者ですので
ひとっ気があるところにはあまり出向きません


ときどき
車止めから見事な富士の姿を仰ぎ見るれるようなそんなところがあります

富士を観るため眺めるためと言うのなら
その場から移動する必要もなければ
その先から始まる急斜を登る必要もないのでは
とその時はそう思うのです

特にその車止め辺りが暖かな陽だまりで
冷たい季節風をも遮るような完璧な場所であったなら
そんなせっかくの好条件を捨ててまで
なにもわざわざ苦労を背負い込むことも無かろうと、、


だけれども
 ”もっと見事な風景があるはずだ”
きっとそういった欲が湧いてくるのでしょう
もっともっとといった欲だけです
ただそれだけを糧に嫌々ながら登り口に取りつくのです



似たような話で
昼飯を食う場所を探して彷徨うことが間々あるんですが
最初に目星をつけた場所で
 ”ここでいいんじゃないか” 
と思うのですが
 ”もう少し登ればもっと快適な場所があるかもしれない”
そんなような欲が出てくるのです

なのでいつも
もう少しだけ
あと少しだけと先へもう少し先へと進むわけですが
いくら先へ進んだところでさっきのところより少しはマシか
さもなくば同等程度と思われる場所しかないのです
いつだってそうなのです

なのでいつだって
腹も減ってるしと少しだけマシなところで妥協することとなるのですが
いざ湯を沸かそうかとなると
こんどは風が強くてだめだなあとなったりするわけです

そしてまたもう少し先へあと少し先へと、、、その繰り返しに


梢が邪魔だからもう少し先へ
あの雲が風に飛ばされる間にもうちょっと高みへ
そんなふうな欲ばかりが出てきて
いつだって満足できないのです


結果的に
いつも同じような場所で飯を食い
同じような富士を観て
暮れそうな時間に来た道をそそくさと降るのです

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