つりの季節

 

寒い間に通った山の話の続きでも、、と思っていたら

あっというまに季節がすすんで気付けばもうすっかり夏です

いまさら山の話もなんですので釣の季節には釣の話でも、、

今年の春も出だしからやたらと気温が高かったですね

普段はのんびり藪山でいぬとぶらぶらしてるんですが

この春はさすがにぼんやりしてると釣りきられてしまうんじゃないか、、

不覚にもそんな強迫観念に駆られ

せっせと里の川へと通いあまご釣に精を出しました

しかしどうやら水の中は外気ほどには温んではいなかった様で

休みの度に通ってはみたものの、、、

まあ春の釣なんてものはだいたいそんなものです

たとえ長い時間何も起こらなくても

この時期にワタシに出来ることはあまりありません

なのでひたすら期待と妄想を膨らませて遡りつづけます

誇大妄想こそがこの季節の楽しみの一つですべてと云っても良いかもしれません

とにかく頭の中いっぱいに素晴らしい釣りをしている姿を、、妄想を膨らませて過ごすのです

そうして一日を無事終える事が出来たら（始めるまえの時もある）季節の産物を漁るのです

里川の畔には必ずと言っていいくらいの確率で農産物などの直売所がありますので

そこでウドだのタラだのを買うのです

そうやってこの春を謳歌するのです

兎に角あっという間に季節は進み

いつも車を置かせてもらっていた境内の櫻はすっかり散って

代わって護岸から伸びた山吹が盛りを迎えます

こうなると真面目な釣り人なら当然のごとく妄想に拍車がかかります

　　　”そろそろいいあまごが出るころだ”と、、

しかしそんな思惑も見事にハズレ

皆様方の期待通りに

この年も

なんど通ったところでなにも起こりやしません

毎年こう思うのです

”暑くなる前にひとつくら良いのを掛けとかないとな”

さもないと秋になるまで高山でいわなを釣って憂さを晴らす羽目になるぞと、、、

ですがそう悲観ばかりしていても仕方ありません

夏でもうんとたまに涼しい日があります

きっとそんな日和が今シーズンも何度か巡ってくるにちがいありません

そして運よくそんな日と休みが重なれば

間違いなくワタシの剛棹を満月のごとく曲げてくれるヤマメが掛かるはずです

そんなとてつもなく大きな妄想を抱きながら

おそらく来週もどこかの山奥でいわなを釣っているのかしらと、、、

夏も本番に

ふらい麻呂