2022/08/17

やまめといわなの谿


 やまめの良い時期はあっというまに過ぎてしまいました


今年もろくにやまめを釣る事なく

気がつけばうんざりする程に暑い夏がやってきました

ただ その過程では

沢水になど浸かりたくないと思わせる程に肌寒く感じる日があったりして

さて今日はカミへ上ろうかシモで日和るか、、、、

などと逡巡するような時期が何週間も続きました

いずれにしてもその時分の里の川は雨無く水低く状況は可なり悪かったのです

なので 結局のところ寒いのを承知でカミへ出向いては谿底で震えていたのでした


度々出向くその谿には

むかしからいわなに混じってやまめが居ました

数は少なかったんですがあそこのやまめはいわな同様型も良くそして強かったんですね

だもので そんなのを(も)掛けたいからと 

もっともらしい事を云っては

毎度毎度あの辺りへ分け入ってはその度に痛い目をみていたのでした


兎に角やまめを釣りたいと云うのであれば

素直にもう少しシモへ入ればその割合も増すので素直にそっちへ行けばいのですが

如何せん割こそ増すがどちらの数も圧倒的に減ると来ています

逆に潔くやまめを捨てていわなばかりで良いとなれば

少し上にある枝沢を辿って降りればいいのですが欲というのは尽きないもので

おっきいやまめも釣りたいが坊主も嫌だと

それでいつも悩むのです



なんだかんだとその谿へは随分と通い続けたのです

しかし釣のひとが年を追う毎に増えると

ごみが増え燃えさしが目に余る様になり

当然の様に居つきの魚はすっかり姿を消し

あくまでも個人的にとなりますが”魅力に欠ける釣場”と化して行ったのです


当たり前ですがそうなると自然と足は遠のくものです

ワタシ一人が行くのを止したところで何も変わる事はないと思いますが

出来る最善の事といったらそれくらいでしたからね



あれから随分と経ちました

なので そろそろみなさん忘れてくれたかしらと

”どれどれ再び入ってみようかしら” とそんな気になったのです


肝心のやまめは、、、時々掛かりました

しかも思っていたよりもカミの方にまで居るのでした

もしかすると誰かが移植したのかもしれませんが

だとしても素直に嬉しいものです

ただし居つきのいわなはすっかり絶えてしまった様です

それでもまだ居るだけマシだと思わなければいけませんね


勿論許容はできませんが

マシと思わなければ全てお仕舞ですので



またいつか

昔のように淵を渡る立派なやまめの背が見たいものです

ガマの背ではなくおおきなやまめの背中がね

そして

いわないわないわなの合間に

突如としてぐりんぐりんとした強烈な手ごたえが欲しいのです


高原の谿底にて ふらい麻呂

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