2020/07/16

梅雨つり



雨ばかり

梅雨なので当然と言われればその通りなのだけれど
ここまで徹底して雨ばかりの日々が続くと
流石に心の底からうんざりだと言わざるを得ないのですよ


六月末の定休日

うまいこと晴れたので
いわなを釣ろうと高原の谿を目指し
わりと朝早くに出かけた

あの日は
いつもよりも0.5時間も早く家を出られたのだから
今日こそは一番乗りだろうと そう確信していたのだけれど
一番乗りどころか 車止めのうんと手前にある門が閉じれらていて
お目当の谿沢へ通ずる入口にさえたどり着く事が出来なかった

どうやら降り続いた雨のせいで道が崩れとか穴が空いたとか
、、、なので これは不運なんだ と潔く諦め次へと向かった

選択の余地なく移動を強いられたわけだけれど
雨あと 増水 低温を思えば この日もいつだったかと同じで
それはそれで幸運だったのかもしれない

移動した先には先着者もおらず
少しばかり嵩は多かったけれど
それでも思っていたほどの増水でもなく
なのでこれを幸運と そう思わなければバチが当たるというものである

釣果はと云うと、、、そんな幸運にも恵まれ
毛鉤の三倍ほどのいわなをはじめ
ポツリポツリと、、、そんな相変わらずの のんびりした調子のつりだった



またしばらく雨が続いて
あれから七日後にやって来た定休日は、、、もちろん雨だった

そして更に六日が過ぎ
七日目の明日もまた雨なのか、、、と半ば諦めてはいたのだが
予報がコロコロと変わるから なかなか諦めがつかない

こうなるともう天気をあてにしても仕方がない

晴れ間などはこれっぽっちも期待できない空模様だとしてもだ
雨さえ降らなければ、、、
いいや たとえ少しくらい雨が降ろうとも、、、くらいの気持ちになっていた

だから
その更に六日後に当たる
そのまたあくる日にやってくる
早い話が明日の定休日には 必ず釣に行ってやるのだ、、、と

とにかく 林道に穴があいていたあの日から十三日が過ぎた

で 今度(明日)の定休日にさかな釣にいかないとするとだよ
この先 あともう七日間もさかな釣ができないという事になる
それにだ 更にあと六日待って そのあくる日の要するに七日目(来週)の定休日にだね
その日が必ず晴れるという保証なんてのはある筈もなく、、、云々かんぬん

もっとも晴れなきゃ釣が出来ないって訳じゃないけれど
豪雨だの 長雨だの しとしとだの
もうどれも不寛容なのである イントレランスなのだよ
いい加減雨から解放せ と そんな心境なのだ

五日も働いたなら(実際のはたらきがどうのとかは別にして)
六日目か七日目には谿沢に入って全てを解放した方が我が身のためなのだ

--- 話が労働問題についてへと逸れて行きつつある ---

なので 正気を取り戻そう そしてさかなつりの話へと戻ろう、、、

ええと、、それにしたって雨ふりはいやなものだ

けれど
あそこのトンネルを越えれば
夕方まではどうにか降られずに済むはずだ といった確信があった

なにを根拠に、、、とかなんとか言われるかも知れないが
それについてはなにを言われようと聞かれようとも説明などするつもりもない
とにかく根拠のない自信と確たる信念を持っての隧道越えだった

トンネルを越えると、、、
果たして思惑通りの展開が待っていた

さかなもそれなりにやる気がある風で
太くて白い流れなどなんのそのといった感じ

ぽつぽつとまではいかないが
ぽつーんぽつーんくらいの調子で泳ぎ出る

渡渉で膝まで濡らしたからか
じわじわ冷えがまわってきてやたらと寒かったけれど
さかなが掛かれば多少の冷たさ寒さは、、まあどうにか我慢ができた

それでも梅雨寒の寒村を流れる谿沢では腿までが限界だった

だから そんな日は何が何でも股間まで水に浸けてはいけない

これは寒がり故の事であって
寒さにはめっぽう強いと云う方はこの限りではないとは思うけどね

さかなが出はじめて 寒さも忘れ いい気になって釣遡っていた

すると 溺れ死んだであろうと思われる猪が足元の岩に引っかかっていた

その時の驚き様といったら、、、思わず大きな声で叫だくらいだから
どのくらいびっくりしかたかってのは簡単に想像できるだろうと思う
なんたって岩だと思ってぐいっとそこに足を乗せるとこだったんだからね

本当に怖がりなのだ
だからその後は すっかり怖気付いてしまったって訳ですよ

猪が目を瞑っていてくれてたのがせめてもの救いでしたね

もしもギョロッとした目を剥いてこっちを見ていたらなら
震え上がって車に逃げ帰っていたに違いない

それにしても曇天時々小雨の谿は薄暗い

それでも時々空が明るくなったりもするから
怖気付いたままでもどうにか持ちこたえられた

あたり一面薄暗いから
少しでも雑木の葉っぱが切れたところなんかはやけに明るく見える
だから そんなとこばかりを探して拾って釣った
少しでも明るいところに立って釣りたかったからね

さかなも暗いのが怖いのだろう
それとも居心地が悪いのだろう

本当の理由は知れないが
ともかくぼんやり明るく照らされた所で不思議とよく掛かったから
そう云う事にしてもいいんじゃないかと
勝手にそう決めつけた

午後も遅くになると
時おり落ちてくる雨粒も次第に大きくなってきた
そして明るい空はほんの少しさえも見えなくなった

濡れ鼠になってまでさかな釣をするのは性に合わない
と云うか 大嫌いなので
ここらが潮時と
頃合いよく現れたコンクリーの壁の手前まで流して林道に上がった

上がったのは谿へ降りたのとは反対側にある道だった

あてずっぽうに斜面を這い上がったのだけれど
まったく見当がなかった訳でもない

ここいらへは寒い時分に山登りに来てるから
大凡の見当はついていた
まあ はずれる事もあるかもしれないけれど
仮に外れたとしても
大事には至らない程度で済むだろうと、、それくらいの確信はあった

果たして
うまいこと道に這い上がる
すると谿底の薄ら寒さがまるで嘘のように
妙になま暖かった

林道の傍に止めた車に戻る

そこは幹線の林道からいくらも外れてはいないのに
さっきまでのあのなま暖かさが消え
途端に またもや薄暗く
同じく薄ら寒く
さらにはちょっとだけ薄気味悪かった

着替えているとまた雨が落ちて来て
目をつむったまま流れに横たわる猪の死骸が、、、、、

曇天増水の谿は薄ら寒く薄暗く薄気味悪い
それでもつりは愉し

ふらい麻呂

0 件のコメント:

コメントを投稿