15 Dec 2017

夏のつり



あたりまえの話だけれど夏は暑い
暑いので自ずとつり場も峪沢奥深くへと入り込む事になる




では 奥へ入り込めば其処は暑く無いのか -- 涼しいのか -- と言えば実際はそうでもない
勿論 朝晩の過ごしやすさは麓や街中の比ではないが
昼間の陽光に晒されながらの遡行ときたら
お天道様が近い分 こちらの方が焼け具合が強いくらいである



いくらかでも峪沢を覆う様に木々が茂っていれば良いが
時に河原がやたらと広くて 流れから日陰のある森までが遠い そんな流れの峪もある
そんな所へ行った時などは 晴れときどき曇りくらいが丁度良いのだが
お天道さまや雲の出し入れが自由になる筈もなく
こればかりは此方の都合に合わせてはもらえないから
それ相当に暑ければ流れに浸るか もしくは一時つりを止して森へ逃げ込むしかない 



逆に ミズナラやサワグルミの森の中をくねくねと流れる沢では
大きな枝葉の庇の元で一日中快適に過ごせるのだが
一転空が掻き曇ると
今度は端っから陽射しを避けていた分一気に肌寒さが身に沁みたりする
そこへ雨でも落ちてこようものなら 今度は一気に体温が奪われ寒くなる
そして不運にも風が、、、、、となると凍える事だって無きにしも非ずである



なので
冬の山もそうだけれど
先ずは 低いところで慣らしながら、、、とするのがよろしいのでしょうね

毎度の事ではあるが
ことしもそんな ”夏のつり” がそろそろと始まったのでありました





確か今年の夏のはじめは雨が降らない日が続いた
だから運よく休み前に雨が降れば
その週は 必ずと言って良いくらいにいぬを伴って近くの峪へ出かけた

だけれど つり人というのは誰しも同じ事を思い願って
そしてそれを実行に移すのである
だから 昼過ぎからつりへ出かける様なそんな不心得なつり人には
なかなか良い思いなど 到底させては貰えないのである

それでも
いぬと峪沢を行ったり来たりするだけでも楽しのだが
やはり つりに行っているのだから釣果が欲しいと願うのがつり人である

ワタシも
これでも一応つり人の自覚はある

そうですよ
心の底から結果が欲しいと何時も思っている極普通のつり人なのですよ
だから 時に 不条理なまでにいぬにキツク当たる事がある

”なんど言ったらわかるんだぁゎ、、前をあるくんじゃなえぇぇ” と

すると
いぬは いぬで

”べつにうちで寝てたってよかったんだがね おまえさまが一緒に来いっていうからさぁ、、、”

そんな顔で此方に一瞥をくれると また知らぬ顔をしてトントントンと前を行く

そんないぬとのせめぎあいが続いた今年の夏のはじまりだった、、、。




七月も終わろうかという頃だったかと思う
秩父のほうで釣をしている衆らとつりに行った

お互い誘いはするのだが
いつも話ばかり
で 毎年そのまま禁漁を迎えていたんだが
今年は確りと お互いにその約束を果たすことが出来た
それだけでなんだか良い夏が来た様な気がした



秩父でつりをしたのは何年ぶりだろうか
つりをした記憶はあるのだけれど あれが何時頃だったのかが思い出せない
雁坂のトンネルが抜けるかどうかって頃なので20年程前になるのだろう たぶん、、、

はままつくんと一緒だったのは良く覚えている
けもの道を適当に伝って峪底を目指すと段々と暗くなってきて
そこにトラロープが一本 更に暗い奈落へと降りていた
それにつかまって降りたんだよね
なんであんなもんを信じてぶる下がったのか いまでも考えると恐ろしい

鮮明な記憶はそれだけだ
つりもした筈だけれど
そこはあまり覚えていない
どこかの小屋跡まで遡行したんだったけかな、、、



もちろん 今夏の記憶は今でもちゃんと残っている

深い森の中に残置された軌道跡を四人でだらだら歩いた
良く踏まれた道で この快適な軌道歩きが終わるとつりが出来るのだと信じていたが
実際には その先の出合から更に小一時間のやま歩きがまっていた



沢の水は低くて 見るからに雨が降っていないといった風だったけれど
森はまるで苔で出来ているような そんなすべてが緑色だけの森だった
沢の水嵩は低いが
これならもうしばらく雨が降らなくてもこの森はこのままなんだろうと
そう思えるほどの苔の森だった




四人で交互に黙々とつり遡った
特別大きなのは掛からなかったけれど
小さなたまりからでも 毛鉤を流せばいわなが飛び出してきた



もう少し奥までつりたかったけれど
夏はまだ始まったばかり
来週も またその次の休みにも へらへらと笑いながらつりをしたかったので
陽が高いうちに さっさと峪を抜けましょうとね、、、

話は戻るが
こういったミズナラやサワグルミの森ときたら
お天道さまが天辺にあっても涼しいけれど
その代わり 暗くなりはじめるとホントにあっという間に真っ暗 だからね

いいですかい
懐中電灯なんかをあてになんてしてたらいけませんよ
照らし損ねてそっくり返ったら御終いですからね
悪い事は言いません
暗くなるまで夢中になってつりなんてしてると碌なことになりません
くどいようですが
深い森は涼しいけれど暗くなるのも本当にあっという間なんですから

夏にちちぶで

真夏と晩夏のつりへとつづく

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